【相続登記義務化はいつから?】2021年民法・不登法改正のポイントをわかりやすく解説①施行時期【いつから準備する?】

相続登記の義務化はいつから?2021年民法・不登法の施行日を解説

 2021年(令和3年)4月21日に民法・不動産登記法の改正法が成立しました(同月28日公布)。
 明治以来の民法物権編の大改正といわれ、改正法の内容や実務への影響も気になるところですが、この記事は、相続登記の義務化をはじめとする改正法の施行時期(※)について解説します。
※なお、施行時期と経過規定の根拠規定はこちらで確認できます。
 ◎法務省民事局│所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)│法律[PDF:319KB]
 →56頁以下から施行時期・経過規定が書かれています。

1.施行日――最短は2年以内

(1) 原則――公布から2年以内(主に民法部分の改正等)

 改正法は、原則として,公布の日(2021年4月28日)から2年以内に施行されます(改正法附則1条本文)。民法の改正部分(共有、相隣関係、財産管理制度、相続制度の見直し)はすべて2年以内に施行されます。また、相続土地国庫帰属法という新法の施行日も公布から2年以内です。また、不動産登記法の改正部分でも休眠登記の抹消手続の簡略化等は2年以内に施行されます。
 なお、正式な施行日はまだ決まっていませんが(2021年5月18日時点)、国民への影響が大きいことを考えると、2023年(令和5年)4月1日がわかりやすいと思います。

(2) 例外――周知期間等が必要な改正=3年or5年以内

ア 公布から3年以内――相続登記義務化等

 相続登記の義務化をはじめ国民への影響が多く、周知期間が必要な改正については、公布から3年以内に施行されます(改正法附則1条2号)。主なものは以下のとおりです。

  1. 相続登記の義務化
  2. 相続人申告登記(相続登記に代わる簡易の手続)
  3. 法人の登記事項の見直し(会社法人番号の追加)
  4. 外国居住の登記名義人の登記事項の見直し(国内の連絡先の追加)
  5. DV被害者等を保護するための住所公開のあり方の見直し

イ 公布から5年以内――所有不動産記録証明制度等

 登記情報システムの改修が前提になる改正項目については、公布から5年以内に施行されます(改正法附則1条3号)。主なものは以下のとおりです。

  1. 住所等の変更登記の義務化
  2. 登記官の職権による死亡情報等の登記
  3. 登記官の職権による住所変更等の登記
  4. 所有不動産登記記録証明制度

 住所等の変更登記の義務化については、登記官の職権による住所変更等の登記の制度を設けたうえで国民の負担を最小限に押さえる方向が検討されています。そして、登記官の職権による住所変更等の登記は、登記情報システムを改修したうえで住基ネットと情報連携を行うことが前提になっています。そのため、住所等の変更登記の義務化も5年以内の施行になっています。

2.いつから準備すべき?おすすめのまとめ資料は?

 今回の改正は、債権法改正と違って一般の方もかなり関心を持っています。先日も、不動産に関する法律相談の際に、相談者の方から「あと2年待てばいらない土地を国に渡すことができるからそれまで待ちたい」という話が出てきました。これは今回新法として制定された相続土地国庫帰属法のことを指していますが、この制度は要件が厳格であるため、丁寧なヒアリングとアドバイスが求められます。

 このほかにも、今回の改正には相続登記の義務化をはじめ不動産法制を大きく変更するものや遡及適用があるものがあるため、一般の方(特に不動産を所有されている個人や企業様)もかなり関心を持っています。施行が2年先だからと油断していると、相談者や顧問企業の方が改正に詳しく、相談の場で、赤っ恥をかいたり、信頼を損なって青ざめるというおそれがあります。不動産や相続に携わる法律実務家(弁護士、司法書士、土地家屋調査士等)は、できるだけ早く改正の内容を把握していくことが望ましいといえます。

 もっとも、改正法の中には政省令に委任している事項や今後制定される通達を見ないと取扱いが確定しないものもあります。そのため、当面は、改正の概要を把握することがよいと思います。概要を把握するには、法務省の概要説明資料がおすすめです。改正の経緯から改正法の内容までわかりやすくまとめられています。ただし、この資料は一般の方でも理解できるように作られている資料ですので、専門家として信頼を得るために、より深い理解・知識を得たい方向けの資料については、別の記事でご案内したいと思います。

 なお、私が出版した書籍「令和3年民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」でも、詳細な解説をしていますので、興味がある方はこちらもご覧ください。

この記事を書いた弁護士

弁護士 荒井達也

 所有者不明土地問題というニッチな土地問題に詳しい弁護士です。日弁連所有者不明土地WG幹事として令和3年民法・不動産登記法改正に携わってきました。なお、情報発信用にTwitterアカウントを開設しております(@AraiLawoffice)。