【いつから?】2021年不動産登記法改正で住所変更登記が義務化される?【遡及適用もある!】

2021年不動産登記法改正により住所変更登記が義務化されます!

 2021年(令和3年)に不動産登記法が改正されました。この改正により、住所変更登記が義務化されます。

 新しいルールの適用開始時期(施行時期)は、公布(2021年4月28日)から5年以内とされているため、2026年(令和8年)4月頃に施行されることが予想されます。

 「なんだ。まだまだ先か。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このルールは施行前に行った住所変更にも適用があるため、注意が必要です(この点も後ほど解説します。)。

 今回はこの住所変更登記の義務化のポイントをわかりやすく解説したいと思います。

住所変更登記の義務化の内容

(1) 所有者不明土地問題

 近年、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地(いわゆる所有者不明土地)が増加したことにより、公共事業、復旧・復興事業、民間取引などの土地の利用が阻害されているという問題が生じています。

 これを一般的に所有者不明土地問題といいます。

 現在、民有地の約22%が所有者不明土地だと言われており、面積に引き直すと九州本土ほどの面積があると言われています。

 そして、この所有者不明土地が不明化する原因の大きなものとして、不動産の登記名義人が転居しても、住所変更登記を行わないことが挙げられています。具体的には、所有者不明土地の約34%が住所変更登記の未了により発生したものだと言われます(さらに都市部では、この割合がさらに高くなると言われています。)。

(2) 住所変更登記がされない理由

 ではなぜ住所変更登記が行われないのでしょうか?

 その原因としては、①住所変更登記は義務ではなく、変更登記をしなくても大きな不利益がないこと及び②転居等の度に住所変更登記を行うことが負担であることが挙げられています。

 ただ、上記のとおり、住所変更登記が行われないことにより、多くの所有者不明土地が発生し、様々な問題を引き起こす事態になってしまいました。

 そこで、2021年(令和3年)の不動産登記法改正により、住所変更登記が義務化されることになりました。

(3) 住所変更登記の義務化の内容

 では、住所変更登記の義務化の具体的な内容を見ていきましょう。

 まず、改正法では、所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内に、その変更登記の申請をすることを義務付けることとされました。

 そして、「正当な理由」がないのに申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処することとされました。

 なお、この「正当な理由」については、通達等で明確化することが予定されています。また、過料を科す具体的な手続についても省令等に明確に規定する予定とのことです。

 以上について、参考にために改正法の条文を掲載いたします。

【参考】改正後の不動産登記法

(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
第七十六条の五 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

(過料)
第百六十四条 (中略)
2 第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。

 

(4) 法務局が住所変更登記を代行?

 上記のとおり、今後は住所変更登記が義務化されるわけですが、これまで義務ではなかったものが義務になるというのは大きな変化ですよね。

 加えて、義務化されても、実際に住所変更登記が行われないと問題の解決にはつながりません。

 そこで、住所変更登記が実効的に行われるようにするための環境整備策が併せて設けられました。

 すなわち、手続の簡素化・合理化を図る観点から、登記官が住基ネット等から取得した情報に基づき、法務局側で住所変更登記をする新たな制度が創設されたのです。

 具体的には、①所有権の登記名義人から、あらかじめ生年月日等の検索用情報の提供を受けていた場合、②法務局側で、この情報を検索キーとして、定期的に住基ネットに照会をして、住所の異動情報を取得します。そのうえで③法務局で住所変更を確認したときは、登記名義人に了解を得たうえで法務局側で住所変更登記をするという制度が設けられたのです。

 なお、法人に関しても、法務省内のシステム間連携により、法人の住所等に変更が生じたときは、商業・法人登記のシステムから不動産登記のシステムにその変更情報を通知することにより、住所等の変更があったことを把握し、取得した情報に基づき、登記官が職権的に変更の登記をする制度が設けられました。

 そのため、検索用情報を法務局に提供していない登記名義人や住基ネットで対応できない海外居住の登記名義人等以外は、この仕組みで住所変更登記が行われることが想定されています。

(4) 遡及適用に要注意!

 なお、上記の新しいルールは、改正法の施行日前に行われた住所変更にも適用されることになっています。

 一般的に法律の改正は施行後に生じた出来事に適用されるのですが、今回の新ルールは施行前の出来事(住所変更)にも適用されます。この点はかなり特殊ですので要注意です。

 もっとも、申請義務の履行期間については、施行前からスタートしないように配慮するために、施行日前の住所変更には、最低限、施行日から2年間という猶予期間が与えられます。

最後に

 いかがでしたか?今回は2021年(令和3年)不動産登記法改正により導入されることになった住所変更登記の義務化のポイントを を解説しました。

 なお、今回の記事の参考文献はこちらです。法務省民事局が作成している、信頼性のある資料です。

 また、私が出版した書籍「令和3年民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」でも、詳細な解説をしていますので、興味がある方はこちらもご覧ください。