【弁護士が解説】2021年相続法改正で相続制度はどう変わる?【いつから施行?】

はじめに

 2021年(令和3年)に民法(相続法部分)が改正されました。この改正により、相続に関するルールが変わります。

 新しいルールの適用開始時期(施行時期)は、公布(2021年4月28日)から2年以内とされているため、2023年(令和5年)4月頃に施行されることが予想されます。

 今回は相続制度の見直しのポイントをわかりやすく解説したいと思います。

1.相続財産の管理に関する規律の見直し

(1) 相続財産の保存のための統一的な財産管理制度の創設

 旧法では相続放棄や限定承認等の場面で相続財産を保存するための相続財産管理制度がありましたが、この制度は単純承認後から遺産分割前までの間や相続人不分明の場合には利用できませんでした。改正法により、これらの場面を包含する統一的な相続財産の保存のための相続財産管理制度が創設されることになりました。

 図説すると次のとおりです。

(2) 相続放棄者の相続財産管理義務の見直し

 旧法では、相続放棄をした者の相続財産の管理義務について、発生要件や義務の内容等が不明確でした。

 そこで、改正法では①放棄時に現に占有している相続財産について②相続人等に引き渡すまでの間③自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務がある旨の規律が設けられました。

 なお、この義務が市町村等の第三者に対する義務ではない点については旧法と同様です。

(3) 財産管理制度における供託に関する規律の創設

 旧法では、不在者財産管理制度等では管理財産が現預金のみとなった場合における手続終了の可否が明確ではありませんでした。

 その結果、都市圏の一部の裁判所では、管理財産が現預金のみとなった場合でも手続が終了できず、管理人報酬だけがいたずらに増加していくという問題がありました。

 改正法では、不在者財産管理人等に当該金銭の供託を認め、管理財産の全部が供託されたときに管理人選任処分を取消すことができる旨の規律が設けられました。

2.相続財産の清算に関する規律の見直し

 旧法では、相続人不分明の場合における清算のための相続財産管理制度に関し、必要以上に手続が重くなっているという問題があったことから、改正法では、清算手続の合理化として公告期間の短縮化等を行いました。

 また、保存型の相続財産管理人も清算型の相続財産管理人もいずれも「管理人」としていましたが、上記1(1)の改正に伴い、清算型の管理人を「清算人」とすることにしました。

3.遺産分割に関する規律の見直し

(1) 具体的相続分の期間制限

 所有者不明土地には、相続開始から長期間が経過し、数次相続が発生しているものが少なくありません。

 旧法では、こういった場合の遺産分割における具体的相続分の算定が難しく、遺産分割が行われない原因の一つになっていました。

 改正法では、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割について、遺産分割を促進するために、特別受益及び寄与分の規定が適用されないこととされました(但し、やむを得ない事由がある場合の例外が設けられています。)。

(2) 遺産分割調停・審判の申立てに係る取下げの制限等

 改正法により具体的相続分の期間制限が設けられたことに伴い、相続開始から10年経過した後は、相手方の同意を得なければ、取下げの効力が生じないという規律が設けられました。

 加えて、具体的相続分による分割期間を超える長期の遺産分割禁止合意等を制限する観点から、①共同相続人間の合意による遺産分割の禁止及び②家庭裁判所の審判による遺産分割の禁止に関して、いずれも相続開始の時から10年を超えることができない等の規律が設けられました。

おわりに

 いかがでしたか?今回は2021年(令和3年)の民法改正により改正されることになった相続の規定を解説しました。

 なお、今回解説した改正が条文にどのように反映されているかについては、以下の資料をご参照ください。

 ※上記1(3)で解説した手続については家事事件手続法にも規定が追加されているため、こちらについては同法の条文も確認する必要があります。

 また、私が出版した書籍「令和3年民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」でも、詳細な解説をしていますので、興味がある方はこちらもご覧ください。