2021年民法・不登法改正(1)改正の全体像①

前回の記事では,法律のたたき台になる要綱案のリンクを紹介しましたが,おそらくこれだけを見てもよくわからないという方も少なくないと思います。
そこで,今回は改正を理解するに改正の全体像を解説したいと思います。

今回の改正は,所有者不明土地問題への対策として行われるものですので,所有者不明土地問題を解決するという目的から考えるとわかりやすいです。
すなわち,所有者不明土地問題への対策は,①所有者不明土地をこれ以上増やさないようにしようという発生予防策と②発生してしまった所有者不明土地を円滑かつ適正に利用・管理する方策に分かれます。例えば,所有者不明土地は相続登記が行われないことにより発生すると言われていることから,相続登記の義務化が検討されていますが,これは①不明化前の発生予防策のひとつです。他方で,相続によって所有者不明化した土地の多くは多数の相続人の共有になっていることが多いことから,こういった土地を円滑に利用できるように共有制度の見直しが行われています。これは②不明化後の利用・管理の方策です。

今回の改正項目は,このように所有者不明土地問題の解決という観点から整理できるのですが,要綱案ではこういった観点からの整理ではなく,改正する法律ごとに改正案の方向性がまとめられているため,非常にわかりにくい内容になっています。

おそらく,法務省が近いうちに,要綱案をベースに法律案を作成し,これと同時に概要をまとめた資料(図表を用いたわかりやすい資料)を作成すると思われますので,そちらが公表された際に改めてご案内できればと思いますが,取り急ぎ,私なりに整理すると以下の図のとおりです。多少とも参考になれば幸いです。

なお,相隣関係というのはお隣さん同士の関係で,隣の土地の所有者が行方不明の場合にどのような権利が主張できるかということが定められています。

また,財産管理制度というのは財産の権利者がきちんと管理できなくなった場合に,裁判所が選任した管理人を派遣し,管理人が権利者本人に代わって財産を管理するという制度です。

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