2021年民法・不動産登記法の改正について

近年,所有者がわからない土地が増加していることが社会問題になっています。

報道各社で速報が出ていますが,民法・不動産登記法の改正がいよいよ目の前に迫ってきました。

 日本経済新聞│土地登記は相続3年内に、違反なら過料 法制審答申

 NHKニュース│所有者わからず放置の土地が増加 対策で登記義務化へ(リンク切れ)

法律のたたき台になる要綱案については,ここで確認することができます。

 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案

要綱案のタイトルに「所有者不明土地関係」とあるとおり,今回の民法・不動産登記法の改正は,基本的には所有者不明土地問題への対策のための改正なのですが,民法や不動産登記法に「所有者不明土地」という概念を設け,そのような土地にだけ適用される特則・特例を設けるという建付けの立法ではありません。

所有者が判明している土地や建物に適用される改正や相続実務に大きな影響を与える改正も含まれています(この点については,立法担当者も,今回の改正が,所有者不明土地への直接的な対策に限らず,民法の相隣関係,共有制度,財産管理制度,相続制度といった幅広い分野にわたるものだと述べています(大谷太「民法(所有者不明土地関係)をめぐる動向」NBL1185号29頁参照)。)。

次回以降,今回の改正について,ご紹介できるところがあれば,記事にして解説していきたいと思います。

なお,改正議論が始まった当初に執筆した記事がこちらで読めます(無料)。改正の方向性は大きく変わっていませんので,全体像はここでつかめると思います。

 苦悩する法務省――所有者不明土地・メガ共有地と民法・不動産登記法改正のゆくえ

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