用地担当者が最初に読むべき本

「事業用地の候補地の登記を見たら,明治時代から相続登記がされていない。。。まずい。何をどうすればいいかわからない。。。」

再エネ事業における用地取得の分野で,最も典型的なお悩みの一つだと思います。

用地取得に関する知識・ノウハウは「暗黙知」になっているものが多く,特に新人・若手の担当者さんや新規参入した事業者さんだと,何をどうすればよいかわからないという場合も少なくないと思います。

今回はこのようなお悩みを抱える方が,最初に手に取るべきオススメの2冊を紹介したいと思います。2冊とも,読みやすさ,情報量,入手しやすさなどの点でとてもコスパのよい本です。実務で参考になる本はたくさんありますが,この2冊は群を抜いていますので,ご覧になったことがない方はぜひ手にとってみてください。

所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン 第3版

所有者調査の基礎からニッチな分野まで丁寧に解説

こちらは公共事業の用地取得担当者のために国交省の検討会がまとめたガイドラインです。

不動産登記情報の取得方法という基礎中の基礎から特殊な名義の土地への対応方法までわかりやすく書かれています。また,巻末資料として取得困難地への対応事例集が掲載されており,これを見ると,どのような手続で,またどの程度の期間で問題を解決したかを知ることができ,とても参考になります。

また,このガイドラインは,インターネットから無料で見ることができます(こちら。なお,冒頭の画像にあるのは,日本加除出版さんが書籍化して出版したものです。「紙媒体で見たいが,印刷の手間が面倒・・・」という場合にはこちらを購入してもよいかもしれません(出版社のリンクはこちら)。

注意点としては,公共事業を念頭に書かれたものですので,民間事業として行う再エネ事業の場合には用いることができない制度がいくつかある点です。典型例としては,土地収用法や住民票等の公用請求等があります。

「住民票の写し等や戸籍の附票の写しによる所有者特定のフロー」(19頁より)

用地ジャーナル

取得困難地への対応事例が豊富!

こちらは公共事業の用地取得等に関する総合雑誌です。

注目は,全国各地の取得困難地への対応事例が詳しく紹介されている点です。現場の実務担当者が取得困難地に対応する場合,似たような事案を知っているか否かで見通しがだいぶ変わってきます。その意味で,対応事例というのは非常に有益な情報です(ちなみに上記ガイドラインの事例集は,この雑誌で紹介された事例を要約して紹介しているものです。)。

しかも,この雑誌のバックナンバーは,インターネットから無料で見ることができます(こちら。直近数年分のバックナンバーは見ることができませんが,直近数年分を除いても,とても多くの事例があるため,十分参考になります。

なお,もし直近のバックナンバーの情報も把握しておきたいという場合には,CiNiiで「用地ジャーナル 補償事例」と検索すると,記事タイトルがわかり,これで大まかな概要が把握できます。もし気になる記事があれば,図書館等でバックナンバーを閲覧してみるとよいかもしれません。

注意点としては,ガイドラインと同様に公共事業を念頭に書かれているという点や古い記事だと法改正で制度が変更されている可能性がある点です。ただ,前者については民間事業者でも利用できる制度が多いと思いますし,後者については法改正がなされている分野もそう多くありませんので,多少古い記事であっても有益な場合が多いと思います。

「補償事例 成年後見人を市町村長からの申立てにより選任し契約締結に至った事例」(用地ジャーナル2020年(令和2年)7月号)14頁より)